わたしが命のパンである。
🌸 第一朗読 (使徒言行録7.51~8.1a)
使徒たちの宣教
51〔その日、ステフャノは、民衆、長老たち、律法学者たちに言った。〕かたくなで、心と耳に割礼を受けていない人たち、あなたがたは、いつも聖霊に逆らっています。あなたがたの先祖が逆らったように、あなたがたもそうしているのです。 52いったい、あなたがたの先祖が迫害しなかった預言者が、一人でもいたでしょうか。彼らは、正しい方が来られることを預言した人々を殺しました。そして今や、あなたがたがその方を裏切る者、殺す者となった。 53天使たちを通して律法を受けた者なのに、それを守りませんでした。」
54人々はこれを聞いて激しく怒り、ステファノに向かって歯ぎしりした。 55ステファノは聖霊に満たされ、天を見つめ、神の栄光と神の右に立っておられるイエスとを見て、 56「天が開いて、人の子が神の右に立っておられるのが見える」と言った。 57人々は大声で叫びながら耳を手でふさぎ、ステファノ目がけて一斉に襲いかかり、 58都の外に引きずり出して石を投げ始めた。証人たちは、自分の着ている物をサウロという若者の足もとに置いた。 59人々が石を投げつけている間、ステファノは主に呼びかけて、「主イエスよ、わたしの霊をお受けください」と言った。 60それから、ひざまずいて、「主よ、この罪を彼らに負わせないでください」と大声で叫んだ。ステファノはこう言って、眠りについた。1サウロは、ステファノの殺害に賛成していた。
🌸 答唱詩編 詩編31 典66 ③④
答:神はわたしを救われる。そのいつくしみをたたえよう。
神よ、あなたの手にわたしの霊をゆだねる。
あなたは約束を守られるかた、わたしをあがなってください。
空しい偶像に走る者を避け、
わたしはあなたにより頼み、いつくしみを喜びうたう。【答】
神よ、わたしはあなたにより頼む。
「あなたこそわたしの神。」
あなたの手にわたしの生涯をゆだねる。
いつくしみによって救ってください。【答】
アレルヤ唱 典
アレルヤ、アレルヤ。わたしは天から下ったいのちの糧。このパンを食べる人は永遠に生きる。アレルヤ、アレルヤ。
🌸 福音朗読 (ヨハネ6.30-35)
ヨハネによる福音
30〔そのとき、群衆はイエスに〕言った。「それでは、わたしたちが見てあなたを信じることができるように、どんなしるしを行ってくださいますか。どのようなことをしてくださいますか。 31わたしたちの先祖は、荒れ野でマンナを食べました。『天からのパンを彼らに与えて食べさせた』と書いてあるとおりです。」 32すると、イエスは言われた。「はっきり言っておく。モーセが天からのパンをあなたがたに与えたのではなく、わたしの父が天からのまことのパンをお与えになる。 33神のパンは、天から降って来て、世に命を与えるものである。」
34そこで、彼らが、「主よ、そのパンをいつもわたしたちにください」と言うと、 35イエスは言われた。「わたしが命のパンである。わたしのもとに来る者は決して飢えることがなく、わたしを信じる者は決して渇くことがない。

🌸 分かち合い
ヨハネ福音書の特徴の一つは、イエスが行った一つの出来事を契機として、人々が通常全く意識しない神の世界に導く、かなり長い説教を展開すること。(ニコデモ、サマリアの女)
この数日読まれているヨハネ6章は、まさに、その典型的な例。ヨハネは、パンの奇跡の後、言われます、「わたしのもとに来る者は決して飢えることがなく、わたしを信じる者は決して渇くことがない。」
人間は、日々、何かに飢え、渇いている。それが何に対する飢えであるかも知らずに、とりあえず、腹を満たすもの、のどの渇きを癒すものを求めている。身体の飢え、渇きが満たされると、より豊かな生活を求めて、様々な文化的なものに心開かれるようになる。美しい絵、心を癒す音楽、知的好奇心を満たす学問研究、さらには、人との交わりによって自らの飢えや渇きを解消しようとする。そのようなものを通して、人間は自分の心が満たされたと錯覚する。しかし、かの有名な聖アウグスティヌスが記すように、(「あなたは私たちを、ご自身に向けてお造りになりました。ですからわたしたちの心は、あなたのうちに憩うまで、安らぎをえることができないのです」)究極的に人間は、創造主である神に行き着かない限り、真の幸せを得ることが出来ないのだ。
旧約には、すでに、モーセの名言がある、「人はパンだけで生きるのでなく、神の口から出る言葉によって生きる」と。イエスは、こうした考えを受け継ぎ、さらに、神の言葉である自らが、人を生かす糧、「いのちのパンである」と言い、文字通り、教会に、キリストの体である聖体を残された。(S.T.)