祈る花:Inoruhana
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主の昇天C年(6/1)

あなたがたはこれらのことの証人となる。

🌸 第一朗読 (使徒言行録1・1-11)

使徒たちの宣教

 1-2テオフィロさま、わたしは先に第一巻を著して、イエスが行い、また教え始めてから、お選びになった使徒たちに聖霊を通して指図を与え、天に上げられた日までのすべてのことについて書き記しました。
 3イエスは苦難を受けた後、御自分が生きていることを、数多くの証拠をもって使徒たちに示し、四十日にわたって彼らに現れ、神の国について話された。4そして、彼らと食事を共にしていたとき、こう命じられた。「エルサレムを離れず、前にわたしから聞いた、父の約束されたものを待ちなさい。5ヨハネは水で洗礼を授けたが、あなたがたは間もなく聖霊による洗礼を授けられるからである。」
 6さて、使徒たちは集まって、「主よ、イスラエルのために国を建て直してくださるのは、この時ですか」と尋ねた。7イエスは言われた。「父が御自分の権威をもってお定めになった時や時期は、あなたがたの知るところではない。8あなたがたの上に聖霊が降ると、あなたがたは力を受ける。そして、エルサレムばかりでなく、ユダヤとサマリアの全土で、また、地の果てに至るまで、わたしの証人となる。」9こう話し終わると、イエスは彼らが見ているうちに天に上げられたが、雲に覆われて彼らの目から見えなくなった。10イエスが離れ去って行かれるとき、彼らは天を見つめていた。すると、白い服を着た二人の人がそばに立って、11言った。「ガリラヤの人たち、なぜ天を見上げて立っているのか。あなたがたから離れて天に上げられたイエスは、天に行かれるのをあなたがたが見たのと同じ有様で、またおいでになる。」

🌸 答唱詩編 詩編47 典112①②③

:主はのぼられた、喜びの叫びのうちに。

すべての民よ、手を打ち鳴らし、
神に喜びの叫びをあげよ。
すべてを越える神、おそるべきかた、
世界を治める偉大な王。【答】

主は喜びの叫びのうちに、
角笛の響きとともにのぼられた。
神をたたえてほめ歌え。
わたしたちの王をほめ歌え。【答】

まことに神は世界の王。
力の限りほめ歌え。
神は諸国の民を導き、
とうとい座についておられる。【答】

🌸 第二朗読 (ヘブライ9・24-28、10・19-23)

ヘブライ人への手紙

 24キリストは、まことのものの写しにすぎない、人間の手で造られた聖所にではなく、天そのものに入り、今やわたしたちのために神の御前に現れてくださったのです。25また、キリストがそうなさったのは、大祭司が年ごとに自分のものでない血を携えて聖所に入るように、度々御自身をお献げになるためではありません。26もしそうだとすれば、天地創造の時から度々苦しまねばならなかったはずです。ところが実際は、世の終わりにただ一度、御自身をいけにえとして献げて罪を取り去るために、現れてくださいました。27また、人間にはただ一度死ぬことと、その後に裁きを受けることが定まっているように、28キリストも、多くの人の罪を負うためにただ一度身を献げられた後、二度目には、罪を負うためではなく、御自分を待望している人たちに、救いをもたらすために現れてくださるのです。
 19それで、兄弟たち、わたしたちは、イエスの血によって聖所に入れると確信しています。20イエスは、垂れ幕、つまり、御自分の肉を通って、新しい生きた道をわたしたちのために開いてくださったのです。21更に、わたしたちには神の家を支配する偉大な祭司がおられるのですから、22心は清められて、良心のとがめはなくなり、体は清い水で洗われています。信頼しきって、真心から神に近づこうではありませんか。23約束してくださったのは真実な方なのですから、公に言い表した希望を揺るがぬようしっかり保ちましょう。

アレルヤ唱 典266(主の昇天)

アレルヤ、アレルヤ。全世界に行き、すべての人をわたしの弟子にしなさい。わたしは世の終わりまでいつもあなたがたとともにいる。アレルヤ、アレルヤ。

🌸 福音朗読 (ルカ24・46-53)

ルカによる福音

 そのとき、イエスは弟子たちに言われた。46聖書には「次のように書いてある。『メシアは苦しみを受け、三日目に死者の中から復活する。47また、罪の赦しを得させる悔い改めが、その名によってあらゆる国の人々に宣べ伝えられる』と。エルサレムから始めて、48あなたがたはこれらのことの証人となる。49わたしは、父が約束されたものをあなたがたに送る。高い所からの力に覆われるまでは、都にとどまっていなさい。」
 50イエスは、そこから彼らをベタニアの辺りまで連れて行き、手を上げて祝福された。51そして、祝福しながら彼らを離れ、天に上げられた。52彼らはイエスを伏し拝んだ後、大喜びでエルサレムに帰り、53絶えず神殿の境内にいて、神をほめたたえていた。

祈る花:Inoruhana

🌸 分かち合い

 復活節の結びである聖霊降臨を来週に控え、今日は主の昇天を記念する祭日です。主の昇天は本来、主が復活されてから40日後、天に上げられたことを記念して、復活祭から40日目にあたる木曜日に祝うものですが、日本では、日曜日に移行して祝うことになっている。
 今日の第一朗読「使徒たちの宣教」でお聞きになったように、復活なさった主イエスが40日にわたって、使徒たちに姿を現し、ご自分が生きていることを示されたとルカは記します。その後、聖霊が送られて使徒たちが力を受けることを約束し、彼らの見ている前で、天に上げられたと、ルカ福音書は伝えます。
 時間や歴史を大事にするルカは、「昇天」をそのように、時間系列の中で起きた一つの出来事のように記しますが、ヨハネは、イメージ化された「昇天」に一切触れることはなく、マタイも、主がガリラヤの山に登り、そこで、使徒たちに宣教の使命を与え、ご自分が世の終わりまで共にいることを約束されたことだけ記します。主が苦しみを受ける前、最後の晩餐の席でされた説教についてヨハネは長く記しますが、その中で、ご自分が弟子たちのもとから離れ、父のもとに帰る、ただし、お前たちをみなしごにはしない、自分が語ったことを思い出させ、その意味を悟らせる聖霊を送ることを約束されました。
 主イエスの復活、その後の昇天、聖霊の降下、使徒たちの派遣、これは、決して、時間的な系列の中で順番に起きた出来事ではなく、むしろ、イエスの受難と復活という、驚くべき神秘がもたらす一体をなす結果として考えるべきことではないでしょうか。新約聖書の中心をなす福音書が四つあり、同じイエス・キリストへの信仰を土台に書かれたものでありながら、少しずつ違った観点から「人となられた神の子」、そして、その方の生と死を通してもたらされた救いを捉えていることは、教会にとって大きな恵みと言ってよいでしょう。
 ルカ福音書は、昇天の前に語られたイエスの言葉として記します、「メシアは苦しみを受け、三日目に死者の中から復活する。また、罪の赦しを得させる悔い改めが、その名によってあらゆる国の人々に宣べ伝えられる」と。さらに、「あなた方はこれらのことの証人となる。」そして、「わたしは父が約束されたものをあなた方に送る」と。
ヨハネ福音書が記すように、主イエスは「父のもとから出て、世に来たが、今、世を去って、父のもとに行く」と言われます。この世でのすべての業を終えられた主は、ご自分を遣わされた父のもとに帰られます。主が弟子たちのもとを去って行かれることは、彼らにとって大きな悲しみです。しかし、主は、言われます、「わたしが去って行かなければ、弁護者はあなた方のところに来ない」と。弁護者とは、聖霊のことです。イエスが去って行かれた後、弟子たちと共に生き、働き、力を与え、力強い宣教師に生まれ変わらせる聖霊、イエスの霊です。
 「使徒たちの宣教」の言葉です。昇天なさる前に、主イエスは言われます、「あなたがたは間もなく聖霊による洗礼を授けられる」、そして、「あなたがたの上に聖霊が降ると、あなた方は力を受ける」と。来週記念する聖霊降臨によって、使徒たちは大きな力を与えられ、大胆に福音を告げることに命をかけるものに変えられてゆきます。聖霊は、イエスが始められたわざを引き継いで、使徒たちのうちに力強く働き、信じる人々の集いである教会を誕生させ、困難の中で導かれます。
 イエスは使徒たちに言われます、「全世界に行って、すべての造られたものに福音を宣べつたえなさい」(マルコ)、また、「エルサレムばかりでなく、ユダヤとサマリアの全土で、また、地の果てに至るまで、わたしの証人となる」(使徒)と。ルカにとって、エルサレムは、主が十字架で最期を迎えられた場所であるばかりでなく、主の復活、そして、福音が力強く告げられてゆく原点でもあるのです。
 聖霊の時代、教会の時代、これがいつまでのものかわかりません。しかし、いつか終わりが来ることも間違いないようです。教会は、第二バチカン公会議であらたに定義されたように、「旅する神の民」です。この教会の旅を共に歩む者として、わたしたちが携えてゆくのは、イエスのメッセージ、福音です。神は、これほど世を愛された、世のために、その愛する独り子を渡された、というメッセージです。そして、その旅を続けるにあたって、繰り返し戻らなければならないのは、イエスご自身とそのみ言葉です。み言葉を悟らせてくださる聖霊に心を開きましょう。そして、旅路の糧である聖体に養われ、共に、父の家である「神の国」の完成に向けて日々歩んでまいりましょう。(S.T.)

御言葉の典礼を読み続く🌸

聖書の本文は日本聖書協会発行の「新共同訳聖書」を使用しております。
どうぞよろしくお願い致します。