年間第三十二土曜日(11/15)
沈黙の静けさがすべてを包み、
知恵書18:14🌸 第一朗読 (知恵18.14-16、19.6-9)
14沈黙の静けさがすべてを包み、
夜が速やかな歩みで半ばに達したとき、
15あなたの全能の言葉は天の王座から、
情け容赦のないつわもののように、
この滅びの地に下った。
16それは、取り消しのきかないあなたの命令を
鋭い剣のように手にして、
すべてを死で満たし、
天に触れながらも、地を踏んで立っていた。
6全被造物はそれぞれ本性を保ちつつ、
新たな姿に変えられ、御命令に服従して、
あなたの子らを無事に守った。
7雲は宿営を覆い、
以前水のあったところには乾いた地が現れ、
紅海には妨げるもののない道ができ、
逆巻く波からは草の生えている平野が出現した。
8驚くべき奇跡を目の当たりにしながら、
そこを民全体が御手に守られて渡って行った。
9彼らは、牧場の馬のように走り回り、
小羊のように跳びはね、
主よ、自分たちを救ってくださったあなたを
たたえた。🌸 答唱詩編 詩編105 典177 ②⑥
わたしの心は神のうちに喜び、その救いに喜びおどる。
尊いその名をたたえよ。
神を捜し求める者よ、心から喜べ。
神にその力を求め、
いつも、その顔を慕い求めよ。
神はしもべアブラハムの約束を、
心に留めておられた。
神は民を喜びのうちに導き出された、
選ばれた民の叫びのうちに。アレルヤ唱 典270 25B
アレルヤ、アレルヤ。福音によって神は私たちを召し出し、主イエス・キリストの栄光にあずかる者としてくださった。アレルヤ、アレルヤ。
🌸 福音朗読 (ルカ18.1-8)
ルカによる福音
1〔そのとき、〕イエスは、気を落とさずに絶えず祈らなければならないことを教えるために、弟子たちにたとえを話された。 2「ある町に、神を畏れず人を人とも思わない裁判官がいた。 3ところが、その町に一人のやもめがいて、裁判官のところに来ては、『相手を裁いて、わたしを守ってください』と言っていた。 4裁判官は、しばらくの間は取り合おうとしなかった。しかし、その後に考えた。『自分は神など畏れないし、人を人とも思わない。 5しかし、あのやもめは、うるさくてかなわないから、彼女のために裁判をしてやろう。さもないと、ひっきりなしにやって来て、わたしをさんざんな目に遭わすにちがいない。』」 6それから、主は言われた。「この不正な裁判官の言いぐさを聞きなさい。 7まして神は、昼も夜も叫び求めている選ばれた人たちのために裁きを行わずに、彼らをいつまでもほうっておかれることがあろうか。 8言っておくが、神は速やかに裁いてくださる。しかし、人の子が来るとき、果たして地上に信仰を見いだすだろうか。」
祈る花:Inoruhana 🌸 分かち合い
今日の福音の箇所は「やもめと裁判官」のたとえ、と題されている。聖書の中で、やもめは社会の中で最も弱い立場に置かれたものとして、孤児、外国からの寄留者とともに、律法や預言者の言葉に繰り返し登場する。しかし、現実には、彼らの弱さに付け込んで、様々な不正を働く人間、さらには裁判官がいた(イザヤ10.1∼2)ことも事実のようだ。
様々な苦しみに悩むやもめは裁判官に訴えるが、彼は取り合おうとしない。しかし、「うるさくてかなわないから、彼女のために裁判してやろう」と言う。こうしたたとえを引き合いに、主は言われる、「神は、昼も夜も叫び求めている選ばれた人たちのために裁きを行わずに、彼らをいつまでもほうっておかれることがあろうか。言っておくが、神は速やかに裁いてくださる。」と。
ルカがこうした言葉を記したのは、主イエスの十字架上の死、そして、復活後、数十年が経った頃のこと。誕生間もない教会は、同胞ユダヤ人からの迫害によりエルサレムを追われ、さらには、ローマ帝国の支配下にあって、自分たちの信仰を公言し、神の国の到来を確信するにはほど遠い状況だったのではないか。
わたしたちが生きる現代、人類が抱えている問題は大きく、深く、容易な解決の見えないものばかり。キリストを信じて生きるわたしたちも、人間の無力さを感じ、時に、希望を失うことも少なくないかもしれない。しかし、主は言われる、「気を落とさず、祈りなさい」と。
わたしたち、キリスト者の存在意義は、それがどんなに小さい働きに見えるとしても、この人間の思い通りにならない現実の中に、あの復活された主が生き、働いておられることを告げ知らせることだと、あらためて悟る恵みを祈ろう。(S.T.)
🌸 AD MAJOREM DEI GLORIAM 🌸
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